導入事例

株式会社ワコール様

掲載月:2017年7月

基幹システムをクラウド化し、グローバルな拠点間連携を実現するIT基盤が構築できました

業務効率向上コスト削減セキュリティ対策

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婦人向けのインナーウェアなどで業界のリーディングカンパニーの株式会社ワコールでは、海外拠点に点在していた工場の生産管理システムを、IBM のクラウドプラットフォームBluemix Infrastructureに集約、国内拠点とはインテックの閉域ネットワークサービスDCANを介して接続した。クラウドへの移行目的や課題、効果について、このITインフラ刷新を担当した、株式会社ワコール 情報システム部 グループ情報システム課 課長 大西 輝昌氏(写真中)、同課 係長 杉田 將氏(写真右)、パートナー企業のコンピューターマネージメント株式会社 西日本システム統括部 主任 宮下 健治氏(写真左)にうかがった。

株式会社ワコール様

解決したい課題

海外比率が高まるなか、海外工場や仕入先、納品先とのシームレスな連携を図る

工場生産管理システムをクラウド化し、拠点間連携と運用の強化、資産管理の軽減を実施

概念実証やセキュリティなど付加価値のあるインテックの提案と実現力

海外拠点、取引先とのシームレスな連携を強化し、
ビジネスのスピードアップを図る

事業のグローバル化に伴い、
海外拠点との連携が課題に

貴社についてご紹介ください。

 株式会社ワコールは1949(昭和24)年11月1日に創業しました。2005年、持株会社のワコールホールディングスへ商号変更し、その100%子会社として新たに株式会社ワコールを設立して、現在に至ります。
 ワコールの中核事業は、ランジェリーやナイトウェアなどの婦人向けインナーウェアの製造、卸です。他にもアウターウェア、運動における人間工学に基づいたスポーツウェア「CW-X」、歩く際の快適さと美しさを兼ね備えたビジネスパンプス「サクセスウォーク」、パジャマやストッキングなど、様々なものに注力しています。いずれも人間の体、そして心に寄り添うものと考えています。
 多くの企業でグローバル化が進んでいるように、私たちも海外での売り上げや製造の比率が高まり、売り上げでは25%超、製造でいえば、5割超に達しています。事業の実態においても取引においても、国内と海外の連携が非常に強まってきていました。
 さらに海外比率が高まるにつれ、グローバルなレベルでのガバナンスが求められるようになりました。

海外工場、取引先とシームレスな連携を
実現するITを目指して

以前のITインフラではどのような問題があったのでしょうか。

 工場の生産管理システムが分散していたことです。生産管理システムは国内、および世界各地に点在する縫製工場などで運用するもので、工場への製造指示、工場からの出荷データなどを処理しています。
 以前は同じワコールグループ内であっても、拠点ごとにオンプレミスで構築していましたが、ある段階からデータセンターへの集約を進めました。しかしそれぞれのITシステムは独立したままでしたので、その連携を強化したいと考えていました。
 そこでシームレスな連携を実現するためのインフラ作りに取り掛かりました。

従来のITシステム、およびインフラには、どのような問題があったのでしょうか。

次の3つの課題がありました。

課題1システムが分散しているためメンテナンスが困難に

 各拠点の生産管理システムは、当社からの製造指示や現地からの出荷データなどをシステム間で同期を取るという仕組みで利用していました。ところが同期でエラーが発生すると、以降の同期が止まります。しかし翌日の業務は、同期が済んでいる前提で予定されるので、エラーが発生したら朝から対処に追われることになります。

課題2独立システムによるコスト増

 「拠点新設のたびに新しくITシステムを設置」という形態では、運用管理対象が増えるだけでなく、データベースのライセンスも高額になります。システムを一か所に集約し、管理の負担とコストの削減を検討していました。

課題3海外拠点での保守の負担

 海外拠点のITシステムでアプリケーションの更新、データベースの修正などは、現地スタッフが作業しますが、その維持やメンテナンスにコストと手間がかかっていました。機械ですから故障はつきもの。故障の対応を、電話でやり取りするのはかなりの時間と手間を要します。サーバを構築する場合は、設定済みの機器を現地に配送し、現地スタッフに指示をしながら設置します。特に最近はITシステムが複雑になり、負担は大きくなっていました。

IBMのBluemix Infrastructureと
インテックのDCANの組み合わせが解決へ

ITインフラの刷新はどこから取り組んだのですか?

 海外の縫製工場とのシステム連携を強めようと、よりオープンな環境、例えば本格的なクラウド環境にシフトすることを検討しました。
 まずはサーバの集約です。日本に集約して海外から専用線で結んでアクセスする、海外に集約して日本からアクセスするなど、いろいろな選択肢を検討するなか、IBMのグローバルなクラウドプラットフォームであるBluemix Infrastructure(旧SoftLayer)が有力な候補に挙がりました。
 これまでデータセンターに集約していた国内の生産管理システムと、現地の工場に設置していた海外拠点の生産管理システムを、すべてBluemix Infrastructureに集約するというアイデアです。

Bluemix Infrastructureを選んだ理由は何ですか?

 大きな理由はデータベースのライセンス料金です。Bluemix Infrastructureではベアメタルサーバというオンプレミスに近い形態でのサーバの利用が可能です。
 利用していたデータベースのライセンス数は、仮想マシンが稼働する可能性のあるサーバのプロセッサ数に比例して増えるため、通常のクラウドサービスではコストが割高になってしまうのです。ところがベアメタルサーバは、1台のサーバに固定できるので、オンプレミスと同じライセンス体系で導入でき、コストを抑えられます。
 また世界各地にあるBluemix Infrastructureのデータセンター間のネットワークは、(一定の条件のもと)無償で利用できる点も魅力でした。海外拠点からBluemix Infrastructureのアクセスポイントに接続さえすれば、コストを抑えてグローバルなネットワークが構築できます。仮に自前でグローバルWANを構築しようとしたら、膨大なコストが必要となり、実現は困難になります。
 ただし私たちでは、本格的なクラウド利用の経験がありません。業務システムを本格的なクラウドに移行し、運用するには、高いスキルを持ったSIerの協力が不可欠でした。このときに相談したのがインテックです。セキュリティや品質の観点から、ワコールの国内WANとBluemix Infrastructureを専用線で接続(DirectLink)したいと考えていたため、インテックのネットワークサービスDCANを組み合わせて活用するという形で話が進みました。

インテックのDCANとBluemix Infrastructureをどのように組み合わせて利用しているのですか?

 以前からインテックのEDIサービスを使うために、同社のデータセンターに既にワコールの国内WANを引き込んでいました。DCANは、インテックのデータセンター構内からクラウドサービスに対して接続できるゲートウェイを設けることが可能でした。つまり、Bluemix InfrastructureとDCANを接続するだけで、国内拠点とBluemix Infrastructureをつなげられることがわかりました。
 そこで、Bluemix Infrastructure上に生産管理システムを集約し、国内拠点からはDCANを介して接続し、海外拠点からはBluemix Infrastructureで接続するという環境が良いのではないかという提案が持ち上がったのです。しかしレスポンスなどに懸念もあり二の足を踏んでいたところ、インテックがPOC(ProofofConcept、概念実証)を提案してくれました。

1.実用レベルのレスポンスが期待できると判断

 最大の懸念事項は、スピードでした。現地の利用者にとっては、海外拠点内にシステムを置いたほうがレスポンスは高速になります。システムをBluemix Infrastructureに持っていけば、遅くなることは否めません。利用者にとってストレスを感じるようなレスポンスになるのは避ける必要があります。
 これは、実際に「海外拠点-インターネット-Bluemix Infrastructure」を接続した検証環境を作り、テストしました。その結果を見て、実用的なスピードは担保できると判断しました。

2. セキュリティ強化のために、端末個体認証を新たに導入

 クラウド環境にシステムを移行することは、会社の情報を外に置くというリスクも生まれます。また、海外拠点の端末はインターネット経由でのアクセスとなるため、インテックから、「端末個体認証のシステムも合わせて導入するのがよい」と端末証明書による認証ソリューション「EINS/PKI for Smart Device」の提案を受けました。認証のため端末に証明書をインストールし、その有効期間や失効リストを一元管理するもので運用側の負担も下げつつ、利用者にとっても証明書によって認証が行われるため、ユーザビリティを担保できるという利点があります。
 これらのPOCでの検証、セキュリティの改善などのやり取りを経て、2016年夏にBluemix InfrastructureとDCANの利用が始まりました。

DCAN

海外工場用のITシステムを直接メンテナンス可能に。
将来の拡張にも柔軟に対応

今回の刷新に、どのような効果を期待していますか?

 今はITインフラ、つまりITシステムをクラウドに乗せて、各拠点を接続したという段階です。次のステップとして、現在、生産管理システムの再構築に取り組んでいる最中ですが、以前の環境よりも優れていると感じる点は多々あります。

課題1優れたメンテナンス性

 生産管理システムをBluemix Infrastructure上に一元化したことで、メンテナンスが容易になりました。以前は海外拠点のスタッフとやり取りしないといけなかった作業が、クラウドに変わって、私たちが直接、システムを操作できるようになりました。

課題2将来の拡張に向けた柔軟性

 生産管理システムのベースを作ったのは約20年前。当時からはテクノロジーも大きく変わりました。今回のBluemix InfrastructureとDCANの利用によって、最新のテクノロジーをキャッチアップして、世の中の流れ、現場からのニーズに合わせて柔軟に対応できるシステムを作りやすくなったと感じています。
 何と言っても私たちにとって、基幹システムの本格的なクラウド化は初めての取り組み。これが成功すれば、他のITシステムのクラウド化という可能性が見えてきます。

「すべてが手の内にある」からこそ、
柔軟なITシステム運用が可能に

初めての本格的なクラウド移行を振り返っていかがですか?

 日本にいながら海外工場のITシステムがメンテナンスできるようになり、「すべてが自分たちの手の内にある」という印象を受けています。同じロケーションのなかに、業務アプリケーションもデータベースも置かれているので、日々の運用、データの配信なども気にする必要がなくなりました。

今回の刷新が貴社の事業に寄与できる点は何でしょうか?

 将来新しいアプリケーションを作るときに、インフラについて気にしなくても済むので、システム間連携がやりやすくなるでしょう。拠点ごとに分散していた時代はタイムラグなど、連携が難しい点もありました。しかし今は一つのロケーションに集約したことで、データの扱いが容易になり、連携を前提にしたシステムを作りやすくなります。
 バリューチェーンの視点に立つと、さらなる効果も期待できます。グループ会社だけでなく、仕入先や取引先との連携を強化したいと考えていますが、従来の環境では、「社外の人に、社内システムにアクセスしてもらう」という手段しかなかったのです。クラウドに乗せ、端末個体認証の仕組みも導入したことで、他の会社との連携もしやすくなるでしょう。

今後、取り組みたいと考えていることはありますか?

 今回の刷新で、生産の部分のクラウド化、最新テクノロジーの導入が実現できました。
 またインナーウェアの企画開発や販売はとても時間がかかるもの。ところがファッションは流行やトレンドに敏感なもの。商品のサイクルが短くなる中で、流行に追従できるようビジネスのスピードアップを図りたいと常々考えていました。
 今回のITインフラ刷新は、将来のさらなる改善につながる基盤が整ったいう意味でも、非常に重要な一歩だったと感じています。

インテックの評価はいかがですか?

 私たちはあくまでユーザ企業の情報システム部ですので、自社のビジネスに最適なITについては考えますが、IT業界のトレンドを踏まえて判断できるわけではありません。そこをSIerに頼っているのですが、インテックはいつも「付加価値を付けた提案」をしてくれます。
 Bluemix Infrastructureの検討の際に「海外拠点でのレスポンスが心配」と相談した際も、「POCをしてみましょう」と提案してくれましたし、「クラウド化するなら、こういうセキュリティ対策が必要」と、先回りして提案してくれるのはありがたいと思っています。
 今後、他のシステムのクラウド化、Bluemix Infrastructure以外のクラウドプラットフォームについても検討していくでしょう。そういうときにも相談に乗ってほしい、付加価値をつけた提案をしてほしいと期待しています。

掲載内容は、2017年7月現在のものです。

※2019年11月1日に EINS/MOW DCAN は「統合型閉域ネットワークサービス」へ名称を変更しています。

お客様プロフィール

お客様名 株式会社ワコール
本社所在地 京都府京都市
URL http://www.wacoal.jp/
事業内容 1946年に婦人洋装装身具の卸商として創業、2005年持ち株会社化。「世の女性に美しくなって貰うことによって広く社会に寄与する」を目標に掲げ、婦人のインナーウェアを中心に、アウターウェア、スポーツウェア、ルームウェアなどの様々な衣料品の製造、卸売販売、消費者への直接販売を主な事業としている。また“世界の女性を美しく”をコンセプトに、アジア、アメリカ、ヨーロッパなど世界各国に生産と販売のネットワークを広げている。

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