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掲載月:2019年3月

History of EINS WAVE vol.2 インテック ネットワーク事業の歴史

今回は、通信自由化の歴史とともに歩みを進めてきた、インテックのネットワーク事業について話を伺った。

1985年に通信が自由化されましたが、当時の状況はどのようなものでしたか?

日本における通信自由化の歩みは1970年代に始まります。1972年の第一次通信回線開放では、前年に開放された特定回線に加え公衆回線も第三者向けに使用できるようになりました。しかし、接続できるのはホストコンピュータと端末の間のみ。ホストコンピュータ同士や別会社同士の接続は禁止されていました。

民間開放されるまでの日本の電気通信事業は、明治時代に電信が始まって以来の国有事業で、当社をはじめ民間の会社がネットワーク事業を展開するなんてことはありえないこと。しかも1967年には日本電信電話公社(電電公社)にデータ通信本部が設置され、電信・電話に次ぐ第三のデータ通信も国有事業に。これによって主官庁や金融向けの大規模なシステムが次々と立ち上がりました。

1982年の第二次通信回線開放では、ようやくホストコンピュータ同士を接続できるようになり、中小企業向けの業界VAN(バン:業界通信網)が解禁されました。しかし大企業向けは依然として国営が担当。そして最終的に通信が自由化されたのが、電気通信事業法が施行された1985年です。そうやって14年かけ、少しずつ民間開放が進んでいきました。

通信自由化に向けては並々ならぬ熱意があったそうですね。

ありましたね。なにしろ、通信をやらなかったらコンピュータ・ユーティリティの実現はありえませんから。

当社を含め、アメリカのコンピュータ・ネットワークを知る会社が「民間の力を活用しなければ市場は広がっていかない、アイデアが広がっていかない」という声をどんどん大きくしていきました。アメリカを視察する特別調査団も結成され、帰国後には「通信が自由かつ効率的に利用できるよう法律や制度を再検討すべき」との提言も行なわれました。

米国コンピュータサービス産業調査団(1968年)

そうした民間の声を代表するかたちで通信自由化の旗頭となって奮闘したのが、当時の社長であった金岡幸二です。金岡の意欲は相当なもので、恨まれ役も買って出たと思います。

加えて、当時の日本はオイルショックによって景気が悪化し、1981年に発足した第二次臨時行政調査会において電電公社を含む三公社の民営化が決定されました。これも民間開放の追い風になったんです。

通信自由化の流れの中で、どのようなサービスを展開していきましたか?

オンラインサービスの提供開始に向けて、データ伝送の試行を繰り返していました。当社が通信回線を利用して初めてデータ伝送を行なったのは1973年です。福井・金沢・富山の分室の原始伝票から作成した紙テープを、ラインセットを使って高岡計算センターの紙テープにパンチアウトするというものでした。

また、1台のコンピュータを複数の端末で共同利用するためのTSS(時分割システム)サービスの試行も、特定回線、さらには公衆回線で行なっていました。そして1975年、2年のシステム開発を経て完成した富山相互銀行(現富山第一銀行)の総合オンラインサービスをスタートし、翌1976年には、東京─大阪間で専用通信網「TecAce Net」をスタートしました。次々と革新的な技術を取り込んで、ネットワーク事業に注力していった時期です。

さらに、パケット交換によるデータ通信サービスを見据えてアメリカのGTEテレネット社と業務提携し、1983年に民間企業としては初めて、全国レベルのパケット交換サービス「Ace Telenet」の提供を開始しました。

GTEテレネット社との業務提携の様子(1981年)

そして通信が自由化されると、全国的なネットワークサービスを提供できる特別第二種電気通信事業者の第一号認可を受け、日用品雑貨、食品、金融、農業用品といった業界VANの設立に次々と参加しました。特別第二種電気通信事業者の申請には相当気合いが入っていたようで、郵政省に朝早くから並んだらしいです(笑)。

特別第2種電気通信事業者第1号認可(1985年)

次回は、通信自由化後にインテックが立ち上げた業界VANについて、お話ししたいと思います。

Interviewee Profile
NAME
鈴木 良之(Yoshiyuki Suzuki)
CAREER
昭和50年4月 株式会社インテック入社。
ネットワーク&アウトソーシング事業本部長、代表取締役副社長執行役員などを経て現在は当社常任顧問として後進の育成に尽力している。
(2019年3月現在の情報です)

掲載内容は、2019年3月現在のものです。

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